心理統計法-相関・予測の分析(2)

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2017-05-14 2200. 統計法 コメントはまだありません

心理統計法-相関・予測の分析(2)

1 はじめに

有意差の分析が条件間の差異を見るのに対して、相関・予測の分析は条件間の関連をみる。
したがって、各条件のデータどうしは独立であってはならず、「対応のある」データでなければならない。このことは単回帰の場合と同じである。
つまり、被験者1人に対して、対象者から3個以上のデータを取る必要がある。ここでは、3変数の場合について扱う。
 
 

2 重相関と重相関係数の定義

2.1 重相関

重相関(multiple correlation) とは、変数が3個以上、且つ、変数間にあらかじめ一定の予測関係が存在する場合の相関関係のことである。

2.2 重相関係数

3変数以上の間の相関関係の強さを表す統計量のことである。
重相関係数の記号は「R」を用いる。

3 事例1

たとえば、表1のような変数A、変数B、変数Cがあり、予測関数が明確に存在する。
ここでは、Aが目的変数、B、Cが予測変数であるとする。

3.1 データ表示

 
表1 データ表示

  条件A 条件B 条件C
(N) 50 50 50
(bar{X}) 14.9 15.7 13.8
(SD) 7.6 5.2 6.9

 

3.2 相関係数 r を計算する

変数Aと変数Bの相関係数:(rab) = (.512)
変数Bと変数Cの相関係数:(rbc) = (.356)
変数Aと変数Cの相関係数:(rac) = (.434)
 

3.3 重相関係数 R を計算する

以下の式により重相関係数 R を求める。

begin{eqnarray*}
& {R} = & sqrt{frac {(rab^2+rac^2-2*rab*rbc*rac)}{(1-rbc^2)}}
end{eqnarray*}

 
(R) = (.533) となる。

3.4 R の有意性検定

これは単回帰の場合と同様に F 分布 を使う。
(R) = (.533), (N) = (50) であるので、以下の式にあてはめる。

begin{eqnarray*}
& {F} = frac {frac {R^2}{変数の個数-1}}{ frac {1-R^2}{N-変数の個数}}
end{eqnarray*}

 
(F) = (9.33) となる。

3.5 F 比 の分子と分母の自由度を求める

分子の自由度:(df①) = 変数の個数-1 = (2)
分母の自由度:(df②) = N-変数の個数 = (47)

F比をF分布表を用いて出現確率を求める。
 
表2 F分布表

df① df② F比
2 40 2.44 3.23 5.18
出現確率 .10   .05 .01
有意水準 有意傾向 5%   1%

 
これにより、 (p) < (.01) なので、有意であると言える。

3.6 R の性質

1)R は0から1までの正の値しかとらない。
2)予測関係が変わると R の値も変化する。
3)使用上の制約は r と同じである (データ分布の正規性、等分散性が満たされていないと R は使えない)。

4 引用文献

小野寺 孝義. (2015). 心理・教育統計法特論 (放送大学大学院教材), 放送大学教育振興会.
田中 敏, 山際 勇一郎. (1992). ユーザーのための教育・心理統計と実験計画法 – 方法の理解から論文の書き方まで, 教育出版.

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